大阪維新の会:「八策」船中模索 資産課税強化←「富裕層逃げる」反発 普天間移設…方向性決まらず

 大阪維新の会が次期衆院選に向けて示した政権公約船中八策」の原案に対し、内外から批判や疑問の声が上がり、取りまとめに頭を悩ませている。特に揺れているのは、資産課税の強化と米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題だ。所属議員は開会中の議会の対応に追われ、党内の議論もいまひとつ進んでいない。10日に全所属議員による全体会議を開き、骨格を固める方針だが、なお曲折が予想される。【堀文彦、内田幸一】

 代表の橋下徹大阪市長は2月13日の全体会議で、原案を口頭で説明。府議、大阪・堺両市議の各議員団で議論し、意見集約するよう求めた。

 原案のうち、資産課税の強化は、個人資産に課税することで貯蓄などを消費に回すよう促して経済を活性化させる発想だった。

 しかし、「富裕層が海外に流出し、日本に中低所得者層しか残らなくなる」などと内部で反対論が続出。幹事長の松井一郎大阪府知事も橋下氏に「俺は持っている資産を海外に移す」と異議を唱え、5日午前も「(導入は)非常に厳しいと思う」と語り、資産課税強化を修正する可能性も示唆した。幹部は「批判を浴びているが、入れざるを得ないかもしれない」と胸中を明かす。

 普天間飛行場の移設問題については、橋下氏が13日の会合で「避けて通れない」と述べた。しかし、維新幹部の話として、「県外移設を盛り込む」との一部報道が流れると、橋下氏は「外交の話を簡単に話しては駄目だ」と所属議員をメールで叱責した。「基地問題でつまずいた民主政権の二の舞いになる」(幹部)との懸念もあり、方向性は決まっていない。

 各議員団の議論も活発化していない。府議会、大阪・堺両市議会では12年度一般会計予算案などを審議中で、時間確保が困難だ。

 更に橋下、松井両氏らは次期衆院選で「維新政治塾」塾生を擁立する方針だが、現職の所属議員の出馬を認めていない。府議からは「自分らが国政に出るわけでもないのに、関心はない」との冷めた声も漏れる。

 ある市議は原案について「テレビや新聞で知った」と言う。「いつも(橋下)代表が突然アウトラインを示し、それを議論する。代表の思いつきに皆が巻き込まれる」。橋下氏のトップダウンで突き進んできた維新だが、政権公約への戸惑いも生じている。

2012年3月5日
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120305mog00m010024000c.html